2011年11月27日日曜日

Contrappunti Massimo Murru (I)

Contrappunti Massimo Murru e Roland Petit ~ parte 1 

2010年の春ごろに、イタリアのTV局Skyの番組Classicaで、スカラ座のエトワールMassimo Murruが、振付師Roland Petitについて語るドキュメンタリーが放送されました。
またこの番組は、2011年6月に再放送されたようです。(奇しくもプティが7月に他界する直前)

インタビュワーの質問にマッシモが答えながら、プティ作品を踊るマッシモの映像が多数挿入されています。

その主な内容について、数回にわたり記録します。
こちら、パート1動画へのリンクです。
Contrappunti parte 1


"La musica e la danza sono inscindibili.." 
音楽とダンスの切っても切れない関係


インタビューの冒頭部分は、音楽についての議論が続きますが、簡単にまとめさせていただきます。

音楽はarchitettura liquida (liquid architect)であるという定義についてどう思うか?というトピックで議論が始まりますが、マッシモはその定義は正しいとし、ダンスと音楽は切っても切れない関係にある、と述べています。

ローラン・プティの何がここまで彼を個性的にしていると思うか?という質問に対しては、「クリエーターとしての天賦の才能の持ち主であること以外に、彼が作り出す作品(振付)の特徴は、今日他に例を見ない、Coreografi narratoriであること」だとしています。
すなわち彼の振付けは、物語を語る力がある、とマッシモは評しているのです。




続いてパート1ではプティ振付の「ボレロ」を中心にインタビューが進行します。

Prove di Boléro a Marsiglia  
マルセイユでの「ボレロ」 (1997)


1997年、マッシモ・ムッルはLucia Lacarra ルシア・ラカッラと共にRoland Petit によるRavelの「ボレロ」をマルセイユの屋外ステージで踊っている。
まずはその屋外ステージでのリハのシーンが挿入される。
パートナーのLucia Lacarra (マドリード出身) の美しさはリハであっても目が釘付けになります。

マルセイユでの「ボレロ」本番をフルで観たい方はこちらのリンクをどうぞ。全長17分強です。
Bolero Lacarra-Murru 1/2
Bolero Lacarra-Murru 2/2




リハーサルの中で、プティはふたりに向かって、「君たちはエレガント過ぎる。互いにたいする戦闘的な感じが足りない」
と指導しています。
プティは動物、いや獣のような、ぶつかり合う二人の野性的な力を表現したかったのでしょう。


番外編: ボレロ、カルメンの練習風景

インタビューContrappuntiとは少し離れますが、こちらは中国の誰かがネットに上げてくれた、カルメンとボレロの練習風景。
"Il talento semplicemente"と題されたドキュメンタリーのようです。

フランス語で進む会話に、イタリア語字幕がついています。
(といっても一方的にプティが指導してマッシモは黙って聞いているだけですが・・・。マッシモは他の映像を見ても、普通にプティの仏語による指導を完璧に理解しているっぽいのですが、自分が仏語を発しているのを聞いたことがありません。。。。)

2パートに分かれる割と長い練習シーンです。冒頭にCMが入ってしまう仕組みのようですがご容赦を。
パート1: Massimo Murru Carmen/Bolero Lesson 1
パート2 :Massimo Murru Carmen/Bolero Lesson 2

パート1冒頭で、プティが「マァーーーッ!」と叫んだ後に、"Massimo, je te tue!" マッシモ、君を殺すよ!
と言っているのがなんかウケますが、真剣そのものの綿密な指導が延々と続きます。


このパート2の冒頭で、マッシモが語っています。キャップをかぶって、まだとても若いマッシモ。
今と声質も少し違います(!)。当たり前か。。。1997年といえば、14年前。マッシモは当時26歳(!)です。

ここでもやはり、マッシモに対し、プティは「もっと力強く、もっとマッチョに!」と厳しい指導をしています。途中マッシモの肩をドン、と押して突き飛ばすところが印象的です。

厳しい練習を重ねてのこの美しい結果なのですね。




Roland Petitによる「ボレロ」

Maurice Ravel作曲の「ボレロ」はベジャールによる振り付けのほうが有名ですが、このプティの振り付けも私は個人的に好きです。
踊っている二人(マッシモとラカッラ)が美しいからというのも手伝ってますが・・・

ベジャール版も本当に素晴らしいと思いますが、同じ音楽でも振付が違うとここまで別の世界を見せてくれるんだなーと感心します。
別のインタビューでマッシモは、ベジャール版に関してややネガティブな見解を示していましたが、プティと自分とで作り上げた作品への愛着や入れ込み方と、他の振付師によるボレロとは、比べものにならないでしょうね。



このプティ版「ボレロ」、作品の始まり方がまた面白い。

リングに上がる2人のボクサーのように、MM、LLのイニシャル入りのローブをまとったマッシモとラカッラの姿がステージに現れ、ゴングが鳴る。
ゆっくりとローブを脱ぐマッシモに、観客から野次が飛ぶ。(さすがマルセイユ)
Bolero in Marseille, 1997.

衣装も脚がむき出しの、レスリング選手を思わせるレオタード。
初めて見た時ちょっとプッと笑ってっしまいましたが(マッシモ、ごめん)、これはやはり、二人のぶつかり合い、「闘い」が根底のテーマとしてあるから選ばれた衣装なのでしょう。

 

ベジャールのボレロに比べるとやや地味な感じはありますが、よくよく見ると、難しいリフトや振りが盛りだくさんで、これを完璧に踊るマッシモとラカッラには本当に拍手したいです。


ラカッラの体の柔軟さと、脚の長さ(マッシモとほぼ一緒)にも注目したいところ。
日本に来てくれないかしら・・・


そして、フィニッシュのポーズ。


うーん。美しい。
若く美しい二人のダンサーに拍手。


楽しんでいただけたでしょうか? だといいなっ。


........to be continued❤



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