2012年1月24日火曜日

誰にでもわかる『椿姫』 ~バレエ編~

バレエはまったく素人のくせに、数ヶ月前にシルヴィ・ギエムとマッシモ・ムッルの舞台を観てフォーリンラブ、そこから個人的興味で始めた「マッシモシリーズ」により、すっかりバレエ一色になってしまったStellaのブログ。

にわかに学習し始めてまず思ったのは、
バレエブログは星の数ほどあるけれど、バレエに詳しくない人にもわかるブログは少ない…
ということ。
使われてるボキャブラリーもこなれすぎていて、高い知識レベルと舞台鑑賞の場数の違いから来ると思われる、ノリというかテンションの高さにはついていけず、
orz あぁぁぁ

と、Stella自身がブログを始めたついぞ数ヶ月前から痛感しているので、普通の人にも読んで理解出来るブログにしたい。

そんな想いもあって、私のブログでは注釈はなるべく親切に書いてるつもり。写真もなるべく豊富に入れてイメージがわきやすいようにしています。たとえ今後バレエに詳しくなったとしても、初心忘れるべからず…



というワケで、突然ですがバレエでもとてもポピュラーな作品のご紹介を。演目は勝手に選びました。

「誰にでもわかる『椿姫』」、行くよ‼


「椿姫」との出会い

バレエはもとより、このアレクサンドル・デュマの「椿姫」を読んで知っている知的な方もいらっしゃるでしょうが、私は詳細を知りませんでした。


Stellaは昔、小野弥夢(おのひろむ)さんの「ディーバ Diva」というステキかつ教養レベルの高い漫画でオペラの「椿姫」についてちょこっと出てきたのが出会いです。
ご存知、これは娼婦が主人公ですので、作品「椿姫」の解釈に苦労する若い主人公の女の子に向かってマエストロ(先生)が、原題"La traviata"(ラ・トラヴィアータ)は「道を踏み外した女」という意味だと言ったのが役の理解の手掛かりになるというくだりが印象深かった。

漫画「ディーバ」はオペラに特に興味がなくとも楽しめるのでオススメです!



「椿姫」は実話をもとに描かれている

「椿姫」の著者アレクサンドル・デュマ・フィスまたは小デュマ(Filsは仏語で息子の意)は父アレクサンドル・デュマ・ペールまたは大デュマ(pèreは仏語で父)の私生児で、彼自身が恋した娼婦Marie Duplessisとの実話をもとに描かれている。(彼のイニシャルADも物語の主人公Armand Duvalと同じ)

また、同じくバレエやオペラで人気の演目「マノン(・レスコー)」とのつながりも興味深い。(詳しくはあらすじで。)
この「マノン」が有名になったのも、「椿姫」の芝居やオペラの中で「マノン」を読んだり観劇したりするシーンがあるためだとか。


オペラの「椿姫」とバレエの「椿姫」は同じじゃない?

このよく知られているヴェルディのオペラ「ラ・トラヴィアータ(邦訳では"椿姫"と呼ばれることが多い)」は、ジョン・ノイマイヤー振付によるバレエ作品の「椿姫(La dame aux camélias)は、デュマの原作小説に端を発しているものの音楽的に関連性はなく、ノイマイヤーの作品の方がは原作に忠実で、ショパンの楽曲を用いています。

一方オペラ作品の方は、ヴェルディがパリで戯曲版「椿姫」を見て感激し、当時新作依頼を受けていたヴェネツィアのフェニーチェ劇場のために主要なエピソードを取り上げて作曲した(1853)もの。
今回はバレエ中心に語りますが、オペラの方も面白いのでまた今度詳しく。(^-^)

ノイマイヤーのバレエの方がオペラ作品より原作に忠実、と述べましたが、それはヴェルディの歌劇ではタイトルや主人公の名前、ストーリーが変えられているからです。



ヴェルディは、オペラの題もデュマの原作"La dama aux camélias"(椿の花の貴婦人)*ではなく"La traviata(道を踏み外した女)"とし、主役の名もアルマンとマルグリットではなくアルフレードとヴィオレッタ(スミレの花の意)と変えている。また、女主人公ヴィオレッタが死ぬ場面も、原作のように独りきりではなく、アルフレードとその父に看取られて息を引き取る。
*「椿姫」は日本語の意訳

対してノイマイヤー振付けのバレエ作品は、登場人物の名前もそのまま用い、音楽も原作と同時代のショパンを使用している。もとは名プリマドンナのマリシア・ハイデのために作られたが、現在では本場はハンブルグ・バレエやシュツットガルト・バレエを中心に、世界各国で上演されている。

(また同じ「椿姫」をバレエ化した作品でも、フレデリック・アシュトン振付「マルグリットとアルマン」もある。こちらはこれまたバレエ界の大スター、ヌレエフとフォンティーンのために作られ、彼らの死後しばらくは上演禁止となっていた)。


題材として愛された「椿姫

まとめるとこんな感じ↓

オペラ「椿姫(La Traviata)」
台本:フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ
原作:『椿姫 (La Dame aux camélias)』、アレクサンドル・デュマ・フィス(小デュマ)
音楽:ジュゼッペ・ヴェルディ
初演:1953年 フェニーチェ劇場、ヴェネツィア

バレエ「椿姫(La Dame aux camélias)」
振付:ジョン・ノイマイヤー
原作:『椿姫 (La Dame aux camélias)』、アレクサンドル・デュマ・フィス(小デュマ)
音楽:フレデリック・ショパン
初演:1978年 シュツットガルト・バレエ マルグリット役はマリシア・ハイデ

バレエ「マルグリットとアルマン(Marguerite and Armand)」
振付:フレデリック・アシュトン
原作:『椿姫 (La Dame aux camélias)』、アレクサンドルデュマ・フィス(小デュマ)初演:1963年 ルドルフ・ヌレエフ、マルゴ・フォンティーン
音楽:フランツ・リスト



「椿姫」は題材として多くの人に愛され、何度も舞台化・映画化されています。

そもそもなぜ椿姫は椿の花の貴婦人と呼ばれていたかというと、椿の花を好んで、いつも劇場や社公場に姿を現していたから。そして月のうちの25日は白い椿を、5日間は、赤い椿を胸に飾っていたそうです。(察しの良い方は、色の変化が何を意味するのかお分かりでしょう。彼女の職業が何だったかを考えれば、とてもプラクティカル。)


映画版「椿姫」 イサベル・ユペール主演 (1981)


ノイマイヤー版「椿姫」 あらすじ

【プロローグ】
マルグリット・ゴティエが死に、屋敷の物がオークションにかけられる。忠実な召使いだったナニーナは馴れ親しんだ屋敷を後にしようとしている。訪れた野次馬、バイヤー、知人や友人の中にアルマンの父デュバル氏の姿があり、訪問客を受付けている。そこへアルマン・デュバルが駆け付けて来、悲しみのあまり気を失う。父が息子に気付いて優しく支える。溢れる思い出に圧倒され、アルマンが語り始める。

Hélène Bouchet as Marguerite Gautier (2009). Photo: Holger Badekow / Hamburg Ballett ©

【1幕】
ストーリーは Théâtre des Variétés ヴァリエテ劇場で始まる。ロココ時代の高級娼婦マノンが、愛してやまない贅沢な暮らしと本当の愛との間で苦しむという筋書きの有名なバレエ作品「マノン・レスコー」が上演されている。パリで最も美しく人気のある高級娼婦マルグリット・ゴティエも観客席にいる。マノンの苦境に心動かされながらもその不実さを嫌悪し、自分と重ね合わせることは出来ないのだった。

Rachele Buriassi as Manon, Elizabeth Mason as Marguerite Gautier & Roman Novitzky as Des Grieux in Neumeier's Lady of the Camellias.
Photo: Stuttgarter Ballett ©

以前からマルグリットに焦がれていたアルマンは、この夜初めて正式に彼女に紹介される。一方彼はバレエに共感し、デグリュの悲劇的な運命が自身の未来にも重なるような気がして恐ろしくなるのだった。
舞台の後マルグリットは友人たちを自分の屋敷に招くことにしており、エスコートしている若く退屈なN伯爵に嫌がらせをするためにアルマンも招くことにした。マルグリットは激しい咳に襲われる。

アルマンが助けの手を差し伸べ、気持ちを抑えられなくなり愛の告白をする。彼の情熱的な告白に心を打たれつつも、自分が肺結核で長くはないことを知り、贅沢な暮らしをやめられないマルグリットは、アルマンと距離を置いた。
しかし2人の関係は深まっていく。宴から宴へ、熱烈な求愛者から求愛者へとせわしく渡りながら、マルグリットは豪勢な暮らしを続けた。アルマンは彼女を待ち続け、N伯爵が彼女に与えた田舎の屋敷までもついて行った。


【2幕】
田舎でもマルグリットは伯爵の金で豪勢な暮らしを続けた。当然のことながら伯爵とアルマンの間で衝突が起こる。マルグリットは初めて選択をした。皆の前で恋人を守り、伯爵の富と保護を投げ打ったのである。伯爵は憤怒して去って行く。

Sue Jin Kang as Marguerite Gautier and Marijn Rademaker as Armand Duval. Photo: Stuttgarter Ballett ©
アルマンとマルグリットはとうとう2人きりになったのだった。
この幸せも遠い過去なのだという思いに囚われ、アルマンは再び気を失う。父は心を打たれ、彼らに対して自分が果たした役目を思い出した。アルマンの暮らしぶりを聞きつけ、息子の留守にマルグリットの田舎屋敷を訪ね、別れを迫ったのである。

マルグリットは最初、アルマンと別れることは出来ないと拒絶するが、アルマンの世間体が悪くなると説き伏せられ、また「マノン・レスコー」に自分を重ね、彼女を愛した結果悲劇的な人生を送ったデグリュを思い浮かべると、自らの深く誠実な愛を別れることで証明することにした。
アルマンが家に戻るとマルグリットはいない。そこへナニーナが彼女からの手紙を持って来る。手紙にはアルマンと別れ、以前の伯爵との生活に戻らなくてはならないと書かれていた。アルマンは手紙を信じずに、パリへと急ぐが、そこに見たのは伯爵の腕の中のマルグリットだった。


【3幕】
しばらくして2人はシャンゼリゼ通りでばったり出会う。
アルマンはマルグリットに深く傷付けられた仕返しをしようと、彼女が同伴していた美しい高級娼婦オリンピアにすぐさま言い寄る。病も末期のマルグリットは最期にアルマンを訪れ、これ以上自分を侮辱するのをやめるよう求める。2人の情熱は再び燃え上がるが、眠りに落ちようとするマルグリットをマノンの悲劇的な残像が苦しめる。

Carsten Jung and Hélène Bouchet as Marguerite Gautier in Neumeier's Lady of the Camellias (2009). Photo: Holger Badekow / Hamburg Ballett ©
マルグリットは目覚めると、アルマンの父との約束を守ろうと心に決め、再び愛する人の元を黙って去る。その後の大規模な宴の折、アルマンは札束の入った封筒をマルグリットに叩きつけ、世話になった借りは返したと言って彼女を公の場で憤慨させる。死期の近いマルグリットは気絶してしまう。

アルマンが語り終えると、感動した父や人々は去って行く。そこへナニーナがマルグリットの日記を持って来る。
読みながらアルマンはいかに彼女が深く心から彼を愛していたかを知り、彼女を彼から奪っていった死の病について知るのだった。

fin.


お楽しみいただけましだでしょうか。

さて、Stellaがマッシモ・ムッルに一言も触れずにブログを終われるわけがない。


椿姫@スカラ座

2008年10月にスカラ座でマッシモ・ムッルとエマヌエラ・モンタナーリのペアが椿姫を踊ったらしい。
ロベルト・ボッレとルシア・ラカッラ組、そしてガブリエーレ・コラドとマルタ・ロマーニャ組の3キャストで7回にわたり上演されたようですね。コラドとロマーニャは多分イタリア国外ではあまり知られてないかもしれませんが、マッシモとスカラを探求しているとしょっちゅう出てくる名前です。
ラカッラも観てみたいですね~

2007年に、大人気を博したスカラのプリマ、アレッサンドラ・フェリ(マッシモと組んだ「ジゼル」「こうもり」がDVD化されており、ボッレと違ってほとんど映像化されることのないマッシモを愛するStellaにとってお宝映像である❥)のスカラ座引退公演でも「椿姫」が演じられ話題になったようである。

Lucia Lacarra in Dama delle camelie


Stagione d’Opera e Balletto 2007 ~ 2008

TEATRO ALLA SCALA
1, 2 (2 rappr.), 3 , 14, 16, 23, 24 ottobre 2008


La Dame aux camélias

Coreografia e Regia
John Neumeier dal romanzo di Alexandre Dumas (figlio)

Musica Fryderyk Chopin
Direttore Ermanno Florio - Pianista Andrea Padova
Scene e costumi Jürgen Rose
Luci  John Neumeier

Étoiles

Lucia Lacarra - Roberto Bolle
nelle recite dell’ 1, 3, 14, 16 ottobre

Emanuela Montanari - Massimo Murru
nelle recite del 2 serale, 23 e 24 ottobre

Marta Romagna - Gabriele Corrado
nella recita del 2 ottobre pomeridiana

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